ファッション1973
月刊チャネラーNo115 1972年11月号より引用
(株)ジュネ専務取締役 西村宗一
記事タイトル「座談会 ファッション1973の課題」
司会 平石芳和氏
記事の「討論の主題」、「西村専務の発言」を以下に引用しました。
記事中敬称略(西村)
MDだけではもうダメだ
気候の影響もあり、前半があまりよかったとは思えません。
それだけに小売店の秋冬にかける期待は大きいわけですが、個展での反応はどうでしたか?
各社の企画が画一化しすぎたとの声もあるけれど‥…。
(他社の発言を省略)
西村)コート展では、非常に丈の長いものと短いものをやりました。
短い方は、ブラウス部門があるので、ブラウスの柔らかさ、甘さみたいなものをジャケットに表現したわけです。
また長い方は、創業以来の特徴ともいえる女らしさのあるものと、別に堅い感じのものを企画してみたのですが、堅さの中にサッシュベルトなどで柔らかさも表現したので、テーマとしては成功したと思います。
(他社の発言を省略)
パリとの提携は理念が問題
パリ プレタポルテの日本への上陸、提携計画が話題になっています。
これまでのプロジェクトはマスに流れたり、かならずしも成功したものばかりとは言えないのです が、今回パリのオートクチュール、ロジェ.マルと提携されたローマ岩島さん、ねらいを聞かせてください。
(岩島)提携にはいろいろな角度からメリット、デメリットがありますが、当社の場合は、ファッションの理念が交流したことが直接の要因です。(中略) ロジェ、マル、クチュールとの提携は、本式には来年度からで、今回はテストでしたが、彼とは五年来の友人関係があり、いってみれば理念の交流が根底をなしております。もしそれがないと、ただのネーム借りに過ぎず、販促や売上増につながっても、体質強化にはプラスしません。のみならず、ファッションに対する理念の交流がない場合には、ほとんど話合いがつかないといってもいいのです。
これまでは商社による仲介、プロジェクトが多かったけれど、そうなると問題もあったわけですね…。
(他社の発言を省略)
西村)ローマさんがいわれたように、理念に問題があります。
パリと東京では気候的にも違うし、そのものズバリの商品を東京で出しても売れるかどうかわからない。
そこで、ものの考え方や洋服づくりの姿勢といった面での結びつきなら、今後ありうると思いますね。
消費者ニーズへの対応
ところで合繊メーカーを含めたプロジェクト計画ですが、再検討期にあるような気もします。
小売店を加えた大きなパワーが要求されているのではないかというような‥…。
そこでIWSのウールマークや東レ、帝人のラベルが、はたして販促にどれだけプラスしているかについて触れてください。
(他社の発言を省略)
西村)直接、間接的な販促には、役立ってますが、ただ当社の場合は、あらゆる素材にどんな味付けをして企業イメージを出すかを優先させて考えているので、特にどこの原糸メーカーの素材という点はこだわっていません。
(他社の発言を省略)
重要ポイントは人材
西村)話の核心からはずれるかもしれませんが、既製服を見なおし、国際的な視野からプロが引っぱっていくために、東レさんが力を借す、日本全体の協同で展開するプロジェクトがあっていいと思うのですが‥…。
岩島)それから、プロジェクトというのは、何も短兵急に商品の展開をするものばかりとも言えないでしょう。組むのは人間。したがって、もっとそれ以前に考えることもある。東レのようなエリート集団は別ですが、現在の二次メーカーは勿論、専門店に不足しているのは人材です。 (中略)
ファッションを支えるのは、人材以外のなにものでもないのですから‥…。
具体的に名を上げて恐縮ですが、鈴屋さんには、いつも店長の務まる人材が一〇人はストックされています。
出店、拡張計画以前に育てているのです。
こういった余裕を、日本全体のものにしていく努力だけは、われわれもする必要がある。
以上 討論の題とまとめを除く、他社の発言を省略し引用
岩島)は岩島(株)取締役企画部長 岩島典三郎氏の発言
関連サイト 社長の右腕 http://genet1988.blog.fc2.com/blog-entry-16.html
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